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第8回「留学していなければ今の自分はいない」中坊壮介(プロダクトデザイナー)[前編]

スパゲティーのパッケージ
スパゲティーのパッケージデザイン。一人分が取り出せるようにデザインされている。 2002年


イギリス生活のスタート

--大学卒業後、会社員となった中坊さんは、一年で退社して念願のRCAに合格されました。

N:自分の計画としては就職をして、お金を貯めて、経験を積んで、その間に英語の勉強もして、準備万端の上でイギリスへ行こうと考えていました。
当然ながら会社は忙しくて、今思えばその計画は浅はかだったのですが、結局会社は一年で退社させていただきました。留学という自分の目標を理解してもらって、会社には本当に感謝しています。それで、その年の暮れにRCAを受けて、次の年の夏に渡英、秋からRCAに行くことになったんです。
僕は興味が尽きないでずっと好きでいられたからこそ、結果的に継続することができて留学することが出来たんだと思います。思いを持ち続けて、諦めない持久力。これはマラソン系ですね。

--2000年から始まったイギリス生活についてお聞かせ願えますか?

N:夏に渡英して、ロンドンのすごく安い寮を語学学校の斡旋で見つけました。最初はそこに住むことにしたんですけど、三人部屋だったんですよ。部屋に入ったら、シングルのソファベッドみたいなのと二段ベッド。二段ベッドで部屋をシェアするみたいな(笑)僕は全てが初めての経験でしたから、ロンドンはこういうもんなんだなあと思っていました。同級生たちに聞いたら、だれも周りはそんな部屋に住んでいなかったですね(笑)
語学のレベルがすごく高い人とすごく低い人ではコミュニケーションは成り立たちにくいですが、低い者同士だと結構成り立つものですね(笑)それこそ本当に気持ちの問題で、すごく仲良くなったりもするんです。
最初の部屋ではトルコ系ドイツ人とポーランド人とで一緒に暮らしていましたね。それが2ヵ月ぐらい。その次は二人部屋のホステルで、一つの部屋にシングルベッドが二つ入っていました(笑)そこではコロンビア人とかブラジル人と一緒でした。
こんな環境では勉強もおぼつかないというふうになったので、学校のほうにいわゆるステューディオ、日本でいうワンルームを斡旋してもらいました。
ステューディオを確保して、その年の春に当時付き合っていた今の奥さんがイギリスに来て、向こうで結婚しました。RCA一回生の終わりの時でしたね。


期待した通りの刺激的な環境

--RCAに留学されて、学校生活の印象をお聞かせください。

N:RCAには、基本的に世界各地から学生が集まってきているんです。そして、皆のバックグラウンドがまったくちがうんですね。そのことがなんといってもいちばん刺激的でした。二学年合わせて二、三十カ国の人が集まって、その全員が全員、モチベーションがものすごく高いんです。その中にいるとデザインに対する考え方が変わってきましたね。すごく良い環境にはすごい人間が集まるっていうイメージがあったんですけど、見るもの聞くもの皆がやることのすべてが、今まで自分の周りとは全然違いましたね。
モチベーションの高い各国の学生たちと一つの分野で勉強してるその環境は、僕が期待した通りの刺激的なものでした。

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