妹沢奈美の we love UK music

【妹沢奈美のwe love UK music】音楽プロモーションのスタイルに変化? ベル&セバスチャンの試み(その2)

ベル&セバスチャン(写真)が試みた、ちょっと面白いプロモーション方法である「映像で直接ファンに伝える」の話の続きです。

group-board_1.jpg 彼らの最新作『ライト・アバウト・ラヴ 〜愛の手紙〜』(ホステス)、通常だったら、バンドが取材を受けたりして雑誌やテレビなどの媒体を通して、リリースの情報が行きわたっていきます。

 しかし今回彼らがとったのは、バンド自らがテレビ番組的な映像を作り、ウェブで無料でストリーミング公開すること。連続モノを考えているようですが、第一回目に放映された内容は、バンドがテレビの音楽番組に出演した体裁でライヴをしたりファンからの質問に答えたり、かと思えば短編映画タッチで「とあるバンドが、リリースにあたって必要な行動について担当者からレクチャーを受ける」という様子をユーモラスに描いたり。他にも、地元グラスゴーのバンドたちとともに、今後のミュージック・ビジネスにおいてバンドが自発的に出来ることに関するなごやかな討論模様が収録されています。

 この映像を見た時、「ベル&セバスチャンがこのリリースに関してどう考えているか」が理解できたのみならず、実際に曲が聴けて、ファンの質問を通す形で作品内容へのベーシックな疑問も解消できました。DIY的な活動を続けてきたベル&セバスチャンだからこそ、この方法はとても合っていると思います。

 と同時に言いかえると、これまでの彼らのファンだった人にしか届かない可能性はありますし(おそらく新人バンドがこれをしたとしても、あまり注意を払われなかったかもしれません)、彼らのファンだったとしても、「こういう映像をベル&セバスチャンが作った」という情報を知らないままの人には、この映像までアクセスできない恐れも。同時に、作品を聴いているといろいろバンドに質問したいこと、取材したいことが出てきましたから、バンドからのメッセージそのものが時に、一方的な伝達になる可能性があることも考慮しなくてはなりません。

 それを含めたうえで、勇敢なバンドだなとあらためて頭が下がる思いがしました。いま、音楽ビジネスは収益の減少などで過渡期に立っています。バンドやミュージシャンも、いい曲を作るだけでよかった時代から、自分たちでもプロモーションなどについて考える時期が始まったのかもしれません。そのあたりを、一足さきにやってのける。このバンドに興味を持った人は、ぜひ、そうやってでも彼らが届けたかった新作を、聴いてみてください。

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